若年発症の脳梗塞
(UpToDate "Ischemic stroke in children and young adults: Etiology and clinical features")
【Causes】
・若年発症 (15歳-49歳)の脳梗塞患者の原因に関する研究では下図のような分布になっている.
・こうした疫学も踏まえた上で, 診断がつかない場合は, 以下のように分類して鑑別を進めるとわかりやすい.
・Vascuar-inflammatoryの項目の中では, Primary Central Nervous System Angiitis (PACNS)に関して着目してみたい.
・PANCSは小児に多い稀な中枢神経系血管炎で,
①18歳以下の小児に説明のつかない神経・精神症状が出現し
②血管造影や病理で中枢神経系血管炎の所見が得られ
③他の全身疾患が同定できない場合
に診断される.
・Vascuar-inflammatoryの項目の中でもう一つ, VZV-associated strokeについて.
・水痘罹患後に1万5000例に一人の割合で発症.
・髄液中抗水痘抗体やPCRで診断する.
・特に水痘罹患後から半年以内の脳梗塞発症リスクが高いと報告されている.
・Vascular (Non-inflamatory), Cardiac, Hematologicの鑑別は以下の通り.
・Metabolic/Ingestionの項目では, まずCADASILを取り上げたい.
・CADASIL (Cerebral autosomal-dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopahthy)は, 中年成人の脳梗塞の原因となりうる遺伝性疾患である.
・若年成人の遺伝性脳梗塞の原因としては最も多いと報告されている..
・臨床経過としては, 若年期に前兆を伴う偏頭痛が出現(20-40%)し, 中年期になって脳梗塞(60-85%), 認知症・遂行機能障害(100%), 気分障害(20%), アパシー等をきたしうる.
・病因としては NOTCH3の変異が関与していると考えられている.
・他にcocaineも, 脳梗塞の原因になりうる.
・2016年にStrokeに掲載された報告では, 以下のように24時間以内のcocaineの初回使用が若年成人の脳梗塞に関わっていたと結論付けられている.
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・若年発症の脳梗塞では, まず頻度の高い大動脈解離 / 椎骨脳底動脈解離, 心原性脳塞栓症を考える.
・それでも診断がつかなかった場合は, 血管(炎症性+非炎症性)・心臓・血液・代謝というように系統立てて鑑別を考えていく必要がある.
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