腎脂肪塞栓症 (Renal Atheroembolism, Cholesterol Crystal Emboli )


腎脂肪塞栓症 (Renal Atheroembolism, Cholesterol Crystal Emboli )

UpToDate “Clinical presentation, evaluation, and treatment of renal atheroemboli



Introduction
・腎レステロール塞栓症はアテロームの一部が引きちぎられ, 遠位に塞栓することで, 小血管が閉塞し組織や臓器が虚血に至った際に発症する.                 


Risk factors
・リスクファクターとして, 高齢・男性・糖尿病・高血圧・高コレステロール血症・喫煙が挙げられる.


Inciting events
・誘引の70%以上は医原性であり, その内訳としては血管内造影(80%)が最も多く, 心臓血管外科術後,  血栓溶解・抗凝固療法がそれに続く.

・血管内造影の中でもCAGが誘因として最もcommonで, CAG後は0.06-1.8%でコレステロール塞栓症を発症する.

・アテロームの多くは腹部大動脈に存在するため, 上腕動脈よりも大腿動脈からのアプローチの方がコレステロール塞栓症を発症する可能性が高い.

・ワーファリンやヘパリン, 血栓溶解療法は, 潰瘍ができた状態からアテロームの回復を阻害するためコレステロール塞栓症を惹起するものと考えられる.

・しかし, 抗凝固に関連したコレステロール塞栓症はuncommonで, 重度の大動脈プラークを持つ患者ですら0.7-1%しか発症しない.


Clinical presentation
・症状としては発熱, 筋痛, 頭痛, 体重減少といった非特異的な症状が多い.

・Time courseは血栓塞栓と比較してみるとわかりやすい.







というように, コレステロール塞栓は誘因から3-8週間経過してから腎機能が悪化していくのが特長的. 
(ただし, 早かったり遅かったりという例外あり)

・コレステロール塞栓症は腎臓以外に, 以下の臓器に症状を引き起こしうる.

  皮膚 (Blue toe, 網状皮斑)
  腸管膜(腸管虚血, 消化管出血, 膵炎)
  中枢神経系(TIA,意識障害, 視覚症状)





・好酸球増多>500/μL(67%), 好酸球尿, 補体低下(39%)が存在すれば, コレステロール塞栓症を示唆する可能性がある.
一般的にこうした所見は1週間以内に消失する.

・尿検査の所見は, 数個の細胞や円柱を認めるといった良性所見が多いが, 例外的に, 血尿や赤血球円柱を呈することがあり, この場合, 腎外症状があれば糸球体腎炎や血管炎が疑われるかもしれない.


Differential diagnosis
・心カテや手術の後に起こりうる, 造影剤や虚血によるATN (Acute Tubular Necrosis)との鑑別が重要.

・コレステロール塞栓症とATNの経過は一般的に異なる. ATNの患者では, 誘因の後数日以内の急性進行性の血清クレアチニン値上昇を示し, 4-21日経ってベースラインに近づく.






Diagnosis
・腎生検で, 腎動脈の中のコレステロール塞栓 (組織処理の過程でコレステロール結晶が流出するためcleftができる)を確認する.




・生検は古典的三徴が揃っている患者に対しては必要ではない.(誘引が明らか, 亜急性/急性の腎障害あり, 典型的な皮疹あり)




・眼底検査ではHollenhorst plaquesを認めることがある. 生検と同じように診断を裏付ける根拠となるため, 決して省略されるべきではない




Treatment
・コレステロール塞栓症に対する特異的な治療法は存在しない

・心血管系イベントの二次予防のために全ての患者は積極的に治療されるべきである. (スタチン, アスピリン, 血圧コントロール, 禁煙, 血糖コントロール)


Prognosis
・腎コレステロール塞栓症の患者の予後は概して不良である.その原因の一つとして背景にある血管病変が重度であるということが考えられる.

354人のコレステロール塞栓症の患者を対象とした研究では, 33%ESKDに進展し, 28%2年間のフォローアップ期間中に死亡した.




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・原因不明の腎不全ではコレステロール塞栓症を鑑別に入れる.

・コレステロール塞栓症は抗凝固や血栓溶解療法も原因となりうる.

・コレステロール塞栓症を疑ったら, 好酸球増加と補体低値に着目する.

・血管炎の鑑別疾患にコレステロール塞栓症も含めておく.


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