脾症(Splenosis)


脾症(Splenosis)

【Etiology
・脾症は外傷や医原性損傷の後に異所性脾組織が発生する疾患である。

・外傷や医原性損傷の後に脾症が起こる頻度は報告によって大きく異なり、外傷例の26-65%、血液疾患のために待機的脾臓摘出術が行われた症例の16-20%に起こると報告されている。

・脾症はスクリーニングや他疾患の精査の際に偶発的に発見されることが多い。

・外傷から腹部・骨盤の脾症が発見されるまでの平均期間は10年と報告されている。(5ヶ月から32年と幅がみられる。)


【Pathology】
・外傷や脾臓摘出術によって脾破裂が起こることによって, 損傷を受けた脾髄が隣接する体腔に流出し播種したり, 脾髄が血中に広がる(肝内脾症・脳内脾症の報告が存在することから示唆されている)事で発症.







【Splenosis and Accessory spleen】





【Symptoms】
・脾症は基本的には無症候性.

・しかし,脾梗塞, 腸閉塞, 消化管出血, 水腎症, 感染が報告されている.

・外傷性脾損傷に横隔膜破裂を伴った場合に胸部脾症となる. 胸部脾症では、胸膜痛や血痰で来院した症例が報告されている.


【Diagnosis】
・脾症は生検で診断される.




・末梢血にHowell-Jolly小体・Heinz小体・pitted red blood cellが認められなかったり, 少なかった場合, 脾症が疑われる.

・脾症に対する検査としては核医学検査が用いられる. 初期には, 99mTc標識硫黄コロイドによる肝脾イメージングが脾症の診断に用いられていた.
この方法を用いれば標識されたコロイドは網内系に局在するために, 脾症を診断することができる.

しかし, 99mTc-熱処理障害赤血球シンチグラフィー, インジウム111-標識血小板シンチグラフィーの感度・特異度の方が良好であり, 近年はこれらを用いて診断することが多い.






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・病歴として外傷性脾損傷や脾臓摘出術を有する患者に腹部・骨盤・胸腔・皮下結節を認めた場合, 脾症を鑑別に含めて診療を進めていく.

・鑑別として想起できるだけで, 診断までに要するwork upは単純かつ安価かつ非侵襲的なものとなり, 患者をあらゆるストレスから解放することができる.

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